結局ほとんど寝れずに空港へ向かう。
いいってゆってるのに母見送りに。
母はとても忙しい人。
自分のことより周りのお世話に追われてる。
そんな母は初めての関空に大はしゃぎ。
「旅行に来た気分」
ああ、いつかパリに一緒に連れていってあげたいなあ。
私の荷物はとても重く、付いてきて貰って良かった。
ところが・・・
荷物チェックでまさかの重量オーバー!!
手荷物に3kg移せと。
無理! 手荷物は、はちきれんばかりにぱんぱん。
初めてのことにパニック。
チェックインまであと少し。
私は逆境に打ち勝つ神様を呼んで、空港を走り回り、奇跡的なスピードで
相当安値の1780円の変な馬鹿デカイかばん購入。
そこにスーツケースの荷物移す。
恥を吹き飛ばし、スーツケース開封。
わーーーーーー!!
またジップロック膨らむ。
半泣きでなんとか間に合い、へとへと。
チェックインご搭乗まで30分ぐらい、余裕ができようやく落ち着いた。
「これ持って行き」
母が渡してくれたのは、死んだじいちゃん(頑固な芸術家)が作ったゴム。
ちなみにこのゴムはタイヤから作ったらしく、絶対切れない優れものらしい。
「いらんわ、こんなん何に使うんよ!」
「何かの時役に立つから、持っていきなさい」
しぶしぶ持たされた。
「そろそろ行くわ。」
出発口へ。
ここでいいって言ってるのにぎりぎりまで見送ると母。
「お母さんのことは何も心配しなくていいから、あんたは自分自身のことだけ考えて行きなさい。お母さんもあんたを見送ったら、一切心配しないから。」
・・・・・・・・・。
「じゃあね。」
私は泣きそうになるのを隠して愛想なくいきました。
搭乗口は長く人の列ができていて、なかなか進まない。
そこはガラス張りになっていてて、こっちを見ている母が視界に入る。
やばい、やばい。
我慢してたのに涙が頬をつたる。
私は32年間、ずっと実家で暮らしたので、永く母と離れたことがありませんでした。
いろんな想いがこみ上げ、涙が止まりません。
こっそりハンカチで涙をぬぐってチラッとガラス越しに母をみた。
絶句!!!
母は何と変なポーズで私を笑かせてくるのです。
しいていうなら、ラジオ体操第二のガッツポーズみたいなやつで手をピースにしてる。
やめてくれ~
並んでる人達がクスクス笑ってる。
私も泣き笑い。
おかしすぎて、笑うしかない。
そしてまた泣く。
母は全てわかっていた。
私が小さくなるまで、ずっとピースする。
ずっとずっと人の影にまぎれて見えないはずなのに見てる。
海外の人とのコミュニケーションになるからと、チェルシーをくれた母。
実は、私は自分で買ったチェルシーをスーツケースに忍ばせていた。
さすが血のつながり。
私が過去、花屋の仕事中、ハサミで深く指を切り、たくさん出血した日、
母に怪我したことなんか伝えてなかったのに、偶然夕食にレバーが出て驚いたこと。
結婚の約束をし、永く付き合っていた人と別れたとき、母も悲しむかと思って隠してたけど、ついに言ったとき「乾杯や!!」と意表をつくリアクションをし、本当にビールを飲みだした母。
お母さん、ありがとう。
好き勝手、自由奔放な私は、いったいどれだけの心配をかけてきたんだろう。
けどこれが最後の心配になりまうように。
私は、今回のパリ滞在を絶対に将来につなげる。
強く思いました。