創世記  第四話



私は手芸売り場へ向かい、黒い布を買いました。

そして帰宅後、図面を描き、中学校以来触ってないミシンを引っ張り出してきました。


オリジナルスカートを作るしかない!


私が考えた、作戦。

それは、エプロンとスカートが合体した、

『 ポケット付 巻きスカート 』


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このエプロンっぽい部分は、誰がなんと言おうと
大きいポケットなのです。
なぜなら、全て縫い付けて一体化してるから。
これは、紛れもない、スカートなのです。

これがまた、うまいこと縫えたのです。

課長め、絶対文句は言わせるか!

と、自信作のポケット付巻きスカートを何度も鏡の前で試着し、
その見事なできばえに、われながら惚れ惚れしてました。


見た目は、エプロン、でもスカートにくっついてるのでポケット。


私はニヤニヤしながら、翌日出勤しました。


そして、所定の場所、ラッピングコーナーでヤツが来るのを待ち構えてました。

来たーーー!!


その瞬間、私は瞬時にラッピング台にお腹をくっつけ
自信作のスカートを隠しました。

しょせん人間なんてこんなもんです。
しかめっつらの課長の顔を見るなり、怖気づいたなんとも情けない私。


そんな時に限ってこっちに来た。


「おい、何を着てるんや。」

いきなり直球。

無言の私。

「何を着てるのかと聞いてるんや。」

すでにキレ気味の課長。

『スカートです』

ついに言ってやたーーー!!

「違うやろ、エプロンやないか!」

『いえ、これはただのスカートです。』

「エプロンやないか!!」

『ああ、これはポケットです。ほら、カートにくっついてるので。』





数時間後、今度は主任室に呼ばれました。
売り場の主任は温厚で優しい人でした。

「一つ聞きたいんやけど・・・
君の親戚に、アメリカ人はいるのか?」

『は???  いませんが。』

「そうかぁ・・・、おかしいな。どう考えても日本人の考え方ではないなぁ。
君、それをアメリカでやったら、拍手やのになぁ。
でもね、残念ながらここは日本なんだよねぇ。」

と、大真面目におかしなことを言われました。



そしてまた数時間後、店長につれられ、課長に謝りに行かされました。
百貨店のルールには何も違反してないのに謝る気はさらさらなかったのですが、店長に頼むから謝ってくれと言われ、しぶしぶ行きました。


そこで、店長の口からまさかの台詞が。

「明日から、百貨店の制服着せますから。」


クラッときました。




つづく




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