創世記  第三話



お店を持つ夢が叶うまでの、私の歴史を赤裸々に描いている
“創世記シリーズ”。

今日は久々に続き書きます。

22歳秋

念願のラッピングコーナーで勤務する事ができました。

あのメロンを包んだリボンの感覚をフルに楽しみ、
紙を切ったり折ったり、そういった作業は本当に向いていました。

ラッピングコーナーの先輩が辞めて行き、私は群れから離れたボス猿のようにラッピングコーナーを一人で仕切り、存分に堪能してました。

百貨店という場所は実にいろんな人がいる。
従業員含めお客さんまで。
ラッピング売り場にもいろんなお客様が来られました。


氷川きよしの熱狂ファンのおばあちゃん。
氷川きよしが猫好きらしく、彼のイベントがある度に猫のぬいぐるみを
持ってきました。
包装紙は必ず氷川カラーの青に黄色いリボン。
覚えてもらうためにと毎回この組み合わせ。


お手製の2メートルはある彫刻された鏡を持ってきた人も。
箱にも入ってなく、いびつな形で何枚もの包装紙をつなぎ合わせ
なんとか包みました。


肉屋で買ってきた生の肉を持って来た変な男の人もいました。


どんなお客様であろうと、どんなラッピング難易度の高い品物であろうと、私の持っている全ての技術と経験で仕上げるラッピングは
もはやラッピングではなく作品でした。

ただ、このような過剰なサービス精神は組織の中では時に迷惑なんですね。

「あなたが休みの時、同じようにできない。」


そういう声もあり、普通のラッピングを強いられるようになりました。
今となれば、当然の事を言われてたとわかります。


狭苦しい世界。


当時の私はそんな風に感じていました。

そんな中、私の組織不適合疑惑に追い討ちをかける出来事が。


若かった私は、当時の仕事着が嫌でたまりませんでした。
白いブラウスに、黒のタイトスカート。
それなら、服屋ででも働け!ってとこですが、どうしてもラッピングしたかったんです。

そのスタイルが嫌というよりは、みんなと一緒が嫌だったんです。

そんな時、ふとある作戦を閃きました。

“冷え性届け” を出せば、ズボンがはける。
そして、業務上必要と言う事で、エプロン着用もいけるかも!
光がみえてきたぞ!!

私は早速、書類を作成し、見事に文具売り場のくせにカフェの店員みたいな、白シャツ&黒パンツ&エプロンというスタイルを手に入れました。

あ~幸せ。
これはかわいい。
みんなと違うし♪


と、大満足で仕事着を満喫していた矢先、

課長の影が忍び寄りました。


「繁忙期が終わったから、服装を元に戻しなさい。」

目が点でした。

ちょうどクリスマスが終わった時でした。

繁忙期だからやむをえず許可したというのです。
そんな話、微塵もしてない!

「私は永久的にということで許可をいただきましたが。」

くいつく私。

「明日中に元の服に戻しなさい。」

ガーン

天井からでっかいタライが落ちてきたようでした。

一瞬の夢ならみない方がまし。

っていうか、おかしいやん!
そんな話じゃなかった。
おのれ、課長め!!

しかし、ここは、組織。
言う事を聞かないと追い出される。
職を失うのは困る。


場違いの表現の自由を追い求めていた、若かった私。



でも、ここでへたばる私ではありません(笑)


一休さんもびっくりの、さらなるトンチを働かせたのです。



23歳  春



つづく





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