お店を持つ夢が叶うまでの、私の歴史を赤裸々に描いている
“創世記シリーズ”。
今日は久々に続き書きます。
22歳秋
念願のラッピングコーナーで勤務する事ができました。
あのメロンを包んだリボンの感覚をフルに楽しみ、
紙を切ったり折ったり、そういった作業は本当に向いていました。
ラッピングコーナーの先輩が辞めて行き、私は群れから離れたボス猿のようにラッピングコーナーを一人で仕切り、存分に堪能してました。
百貨店という場所は実にいろんな人がいる。
従業員含めお客さんまで。
ラッピング売り場にもいろんなお客様が来られました。
氷川きよしの熱狂ファンのおばあちゃん。
氷川きよしが猫好きらしく、彼のイベントがある度に猫のぬいぐるみを
持ってきました。
包装紙は必ず氷川カラーの青に黄色いリボン。
覚えてもらうためにと毎回この組み合わせ。
お手製の2メートルはある彫刻された鏡を持ってきた人も。
箱にも入ってなく、いびつな形で何枚もの包装紙をつなぎ合わせ
なんとか包みました。
肉屋で買ってきた生の肉を持って来た変な男の人もいました。
どんなお客様であろうと、どんなラッピング難易度の高い品物であろうと、私の持っている全ての技術と経験で仕上げるラッピングは
もはやラッピングではなく作品でした。
ただ、このような過剰なサービス精神は組織の中では時に迷惑なんですね。
「あなたが休みの時、同じようにできない。」
そういう声もあり、普通のラッピングを強いられるようになりました。
今となれば、当然の事を言われてたとわかります。
狭苦しい世界。
当時の私はそんな風に感じていました。
そんな中、私の組織不適合疑惑に追い討ちをかける出来事が。
若かった私は、当時の仕事着が嫌でたまりませんでした。
白いブラウスに、黒のタイトスカート。
それなら、服屋ででも働け!ってとこですが、どうしてもラッピングしたかったんです。
そのスタイルが嫌というよりは、みんなと一緒が嫌だったんです。
そんな時、ふとある作戦を閃きました。
“冷え性届け” を出せば、ズボンがはける。
そして、業務上必要と言う事で、エプロン着用もいけるかも!
光がみえてきたぞ!!
私は早速、書類を作成し、見事に文具売り場のくせにカフェの店員みたいな、白シャツ&黒パンツ&エプロンというスタイルを手に入れました。
あ~幸せ。
これはかわいい。
みんなと違うし♪
と、大満足で仕事着を満喫していた矢先、
課長の影が忍び寄りました。
「繁忙期が終わったから、服装を元に戻しなさい。」
目が点でした。
ちょうどクリスマスが終わった時でした。
繁忙期だからやむをえず許可したというのです。
そんな話、微塵もしてない!
「私は永久的にということで許可をいただきましたが。」
くいつく私。
「明日中に元の服に戻しなさい。」
ガーン
天井からでっかいタライが落ちてきたようでした。
一瞬の夢ならみない方がまし。
っていうか、おかしいやん!
そんな話じゃなかった。
おのれ、課長め!!
しかし、ここは、組織。
言う事を聞かないと追い出される。
職を失うのは困る。
場違いの表現の自由を追い求めていた、若かった私。
でも、ここでへたばる私ではありません(笑)
一休さんもびっくりの、さらなるトンチを働かせたのです。
23歳 春
つづく