地域密着型のよろこび
Hanairoのオープン当時、特に宣伝などしてなかったし、何屋さんか判りにくい店構えにしてました。
だから来店してくださる方は、知り合いの知り合いや、通りすがりでどうしても気になって入ってくださった女性のお客さまがほとんどでした。
3月のある日、閉店準備をしようとしてた頃、ドアが開き、ほろ酔いのサラリーマン(60歳ぐらい?) が入って来た。
店間違ってる?! 飲み屋ではありませんが・・・と心の中で思ってると
おもむろにプリザーブドコーナーに歩いていき、すごい速さで
「これとこれ、東京に送って。」
と何の迷いもなく選んで下さいました。
私の方が、動揺でした。
「スタンプカードをお作りしましょうか?」
と聞くと
「単身赴任だから、そんなのいらねーよ!俺は東京に帰りたいんだ!!」
と、ややキレ気味で、スタンプカードをかたくなに拒否されました。
それでもめげずに接客を続けてたら、東京に住む奥様とそのご友人にホワイトデーの贈り物だそうです。
ちなみに、この方の外見は、きっちりした課長さんタイプです。
なぜ、この店に来てくれたんだろう・・・
どっから情報聞いたんだろう・・・
いや、近所に知り合いとかはいなさそうやから、自ら来てくれたんやんなぁ・・・
とか、不思議だらけでした。
そっから約一週間後。
ある土曜日。
おじさんは、ジョギング姿で入ってきました。
「ええ~っと、そうだな・・・、これちょうだい。」
と、あるアレンジを指差しました。
『こちらも配送ですか?』
「自分の部屋に置くんだよ!」
『!!!!!』
「この前東京に送ったやつ、女房が喜んでたよ」
と、おじさんはぶっきらぼう江戸っ子風に話してくれました。
ジョギング途中にわざわざスポーティなファッションで来て下さり、しかも
単身赴任を怒ってたのに、その部屋に置く為に花を買ってくださるなんて。
感激。
おじさんはそこから度々、来てくださいます。
そして本日、たった今、会社帰りに来てくださいました。
「中学一年生の女の子の勉強机に置くんだよ。どれがいい?」
今日はめずらしく私に選ばせてくださいました(笑)
帰り際におじさんは言いました。
「今から瓢箪山にこれを持って行かないといけないんだよ。
東花園から来て又戻るんだ。」
『気をつけて行って来て下さいね♪』
笑顔で送り出し、私はハッとしました。
おじさんは、私の近所に住んでいます。
おそらく東花園が職場なんでしょう。
そして知人の家が、瓢箪山。
近鉄電車をご存知ない方の為、ご説明しますと、東花園と瓢箪山は隣で
私の住む東生駒はそこから電車で20分ぐらいなんです。
つまり、私の店に来る為、トンボ帰りになるんですね。
他にお土産やお花を買うところは、いくらでもあるのに、わざわざ地元に戻って、Hanairoの花を買う為に来て下さった。
百貨店でもなく、ブランド店でもなく、このHanairoで大切な方々への贈り物を買ってくださる。
気づくのが遅かった・・・と思ったけど、ジーンとしました。
急いで駅に向かうおじさんの姿を思い出し、今度何か感謝の贈り物を作って用意しておこう、と思いました☆