ついに最終日。
今日が最後なんて、まったくそんな気がしない、いつも通りの始まり。
そして不思議と寂しさがこみ上げてきません。
ランチの時間、レザは、近くのカフェからおいしい食事をテイクアウトしてくれました。
いつもは、交代でお昼を食べるのに、今日はみんなでテーブルを囲みました。
プチ・パーティ。
うれしいな。
この日食べた おいしいランチの味は
一生忘れない。
私の作ったブーケたちは、店の外の通りに
ディスプレイしてある。
本日日曜で、人通りが多い。
私は、外で植物のメンテナンスをしていた。
そしたら、通りすがりのパリジェンヌの会話が
耳に入る。
「見て、かわいいブーケ!」
わあああ!うれしい。
っていうか、私、耳が慣れてきてる。
そして、さらに一人のマダムが聞いてきた。
「このブーケ、誰がつくったの?」
「Moi ! (私です) 」
「とってもいいわね!」
「メルシー!!」
と、褒められた事と、一応フランス語で会話ができてる自分がうれしかった。
バタバタと時間が過ぎ、あっという間に閉店時間。
感傷に浸るまもなく時は流れる。
私、最後の日は絶対泣いてしまうだろうと思っていた。
でも、ぜんぜん悲しくない。
なぜ悲しくないのか。
「Chico, おいで。」
レザは、閉店した店の前に、テーブルを出し、ワインをあけてくれました。
この日はスタッフが少なく、最後はレザと ジャーミンと3人。
イチゴ と ロゼワイン。
「乾杯!」 二人は日本語で乾杯してくれた。
私はレザに言った。
「私は、あなたの店が、本当に好き。」
「僕もだよ。この店は、僕の子供だ。かわいくてしょうがない。」
レザ、私もそんな風に思える店を、絶対つくるよ・・・
そしてレザは、私に一冊の本をくれました。
それは 日本名で “芍薬” という花の図鑑。
フランス語では “PIVOINES ピュアン ” といい、
フランス人は、この花をとても愛しています。
その本にはレザからメッセージとサインがかかれていました。
「 君の親切に、 君の性格に、 君の笑顔に
とても感謝しています、ありがとう。
私は君がこれからも変わらず、
がんばって行く事を願っています。
L’artisan fleuriste の 仲間として・・・
また会いましょう!
レザ 」
そうか。
私が寂しさを感じないのは、お別れと思ってないからか。
「さようなら」 ではなく 「またね」
スタッフは私と最後のときにそう言ってくれました。
「A bientot ! 」
またね、
そう言って、私は店をあとにしました。